漫画キャラクター
死なない


  ● 目 次
 
はじめに
 〔1〕
 〔2〕
 〔3〕
 〔4〕
 〔5〕
おわりに


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漫画キャラクターなない
― 「いのちときもちとぱぱぱぱぱー!?」を読んで ―



■ 警 告 ■
※ 読者おのおのの解釈はあると思いますが、ここでは私個人の解釈を述べさせていただいております。ゆえ、解釈の異なる方もおられると思います。また、これは一個人の解釈であり、作品そのものではないということをご理解いただいたうえ、内容を鵜呑みにしないようご注意ください。


 この先を読むのは自己責任でお願いします。



【 目 次 】

  
はじめに
   〔1〕 まんが記号説とは? ――大塚英志の解釈より
   〔2〕 まんがキャラクターは死なない ――曽山まんがの写実性
   〔3〕 写実性と非写実性の間で――「いのちときもちとぱぱぱぱぱーっ!?」を読んで
     イ、校長の除外 
     ロ、本編レギュラーキャラクターへの線引き
     ハ、死なない身体と死ぬ身体
   〔4〕 再び、まんがキャラクターは死なない
   〔5〕 記事を書いてから3年 ――感想と追記

  おわりに


は じ め に

 「まんがキャラクターは死なない」身も蓋もないタイトルです。
 とはいえ、まんがを読むに当たって――まんがに限らずあらゆるフィクションを楽しむ場合に、前提として踏まえておかなければならない重大事項と思います。

  Q、ゲームやまんがでは人が死んでも生き返ります。どうしてですか?
  A、ゲームやまんがだからです。


 こういったなんでもないことを疑問に思えなくなくなったとき、また答えが分からなくなったときが一番危ない。「空想と現実の区別がつかない」という事態であるといえるでしょう。


 
 さて、この記事は2009年11月26日、管理人が別サイトのブログのほうで本誌連載中の『わざぼー』(第5巻収録「トイレのおばちゃんとわざぼー」)の感想に書いた記事から一つにまとまった話題を抜き出して加筆修正したものです。

 この記事は苦情を頂いたことがあります。
 その方はこれを読んで大変気分を害されたということでした。曰く、漫画について現実的な検証をするべきではない。また、子ども向けに書かれた作品なのだから深く考えるようなものではない、ということでした。

 まず、誤解がないように断らせていただくのですが、

 この記事は漫画と現実を比較検証し作品を揶揄するような内容ではありません。現実的な検証をすることへの批判はおそらくそういった行為と受け取られたことによる誤解だと思われます。私は「『じーさん』はいつも校長が死ぬのに子犬だけが死ぬのはおかしい」と言って作品内の矛盾をあげつらい、こんな話はデタラメだといって嘲笑しようとして書いたわけではないのです。

 むしろ、作者が普段「登場人物が作中で死ぬようなことがあっても次の話では生き返る」そのような前提(設定)を持つ作品で生きものの<生・死>をテーマに選んで描いた、というのがすごいことだと思い、筆をとったのでした。

 この作品では<生・死>が写実的に描かれています。しかし、『じーさん』という作品の性格あるいは読者への配慮のため、登場キャラクターに現実同等の死を描くことについてかなりの制限があったはずで、作者は相当頭を捻ったのではないか。

 その痕跡(と思われるもの)を追いながら、いかにして登場キャラクターの死を読者に納得させたか、普段どおりの“死なないキャラクター”たちと描き分けたか、読者への衝撃を和らげるための配慮を行なったか・・・そういったことを読み取ることで作品のすごさや感動を伝えたかった。

 ファンによる作品べた褒めの一種として理解してもらえれば、決して、この記事が作品批判ではないことを分かっていただけると思います。

 また、このように作品の構造的なものを暴くことによって“創作”という行為をするにあたり技術を盗む参考になるのではないか、とも思いました。<死なない身体と死ぬ身体>のキャラクターを混在させて、しかも「いのち」をテーマにした作品を成立させるなどということをした作家を私は他に知りません。

つ ぎ → 〔1〕

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