まとめ と 感想 … その2 |
タイトルページや各号の物語冒頭・終わりに添えられたコメントを見て行きながら、
みみみちゃんとむむくんがどんなふうに関わりあってきたのかを振り返ってみよう!
というのが、このレポートのテーマでした。今思えば手順が違いましたね(^^;
まず、本誌コメントというものがどんなものなのか?を調べたうえで、作品を読みとるために有効だという確認をしてから、“みみみちゃんとむむくんがどんなふうに関わり合ってきたか”を読んでみる、ってのが筋の通るお話ですね。何事も段取りどおりには行かないものです <いいわけだー!!。
以前のまとめでは話の順番が混線してしまって、理解しにくいものになっていました。今回、改めて話が通るように【分かったこと・見えたこと・言えそうなこと】をまとめていきたいと思います(−V−;
【本誌コメントってどんなもの?】
さて、これまでむむが登場する6号(1−6)−21号(4−3)までの本誌コメントやF.C.、21号に関しては作者の明記を目的とした曽山先生の名前の上に添えられる作者自身の宣伝文にも言及し確認をしてきました(ここでは、各号の終わりに添えられるF.C.や表紙にある作者自身の宣伝文も編集部が作品に付与した作品関連情報として本誌コメントと同等に扱います。)。私はコメントと本編の関わり方について、いくつか言及しました。その内容は大きく3つに分けられそうです。
1、作品へ影響をおよぼすことを目的としたもの
2、むむの物語での立ち位置およびみみみとの関係へ言及したもの
3、むむをリスペクトしたもの
冒頭の前置きで書きましたとおり、“本誌コメントがむむみみの関係を言ったものとして作品を読むときの資料になる”という説を主張したく、このレポートを書きました。前項までの検討によって、本誌コメントは1、2、3のようなことを言っていることが確認できた。つまり、本誌コメントとは<作品へ影響を及ぼすものである(1)>だから、<むむの物語への立ち位置およびみみみとの関係へ言及したもの(2)>は作品にも意味をなすものだ。・・・これで本論が理にかなったものだと言えそうです(ほっと胸を撫で下ろす)。また、<むむをリスペクトしている(3)>という特定キャラクターへの注目を煽る内容が認められるが、これには編集部のどんな意図によるものか?という新たなテーマを見出すこともできました。
ここからは、上記、1・2・3について順に解説してゆきます。
1、作品へ影響をおよぼすことを目的としたもの
“本誌コメントからむむとみみみの関わり方を読みとる”という作業に有効か否かを判断するのに一番重要なのは、先にも言ったとおり、“本誌コメントとはどんなものなのか?”を明らかにすることでした。はじめの判例に示しましたが、扉や冒頭の柱に添えられるものについては、多くの場合、作品の内容を読む以前に飛び込んでくる文字情報です。作品の内容そのものではないから、これらコメントと作品とでは隔たりがある(コメントは作品の内容ではない)。けれども、作品の内容以前に位置するのだから読者が作品を読む際の<参考>として機能する。つまり、読み手の心理を操作する事ができるということです。
作品を読む<参考>になるということは、作品の内容を読むためのものであるという前提があるので<作品の内容に則したもの>が添えられる。また、作品内容以前に位置している場合、読者を作品に惹きつけるための<宣伝効果>を期待した内容が添えられる。一方で、作品の内容を以前から引き続き読んでいる読者へはその号に掲載された<話の読みどころとなる部分を提案する>意図もあるように思われます。
また、作品の内容以降につけられる末尾のコメントや、F.C.の文字情報も、作品の内容を読み終えた読者に向けた<作品の内容に則したもの>が添えられ、次号の<宣伝>や、内容をおさらいした要約(<作品の内容に則したもの>)また、作中にある疑問点を提示することによって<話の読みどころとなる部分を提案する>という、作品内容以前につけられたものと同等の機能があるように思われます。
本論で注目するのは<話の読みどころとなる部分を提案する>というもので、これは、読者の読みの方向に影響を与える、ということです。例えば、21号(4巻「やってきたライバルとわざぼー」)の表紙の絵はむむとみみみが背中合わせに立っているという絵柄ですが、そこへ「2人をつなぐ・・・/2つのぼー。」というコメントが添えられている。“この二人が何かしらの意味で繋がっているらしい”という、読み方を読者に提案しています。さらには、曽山先生の他誌掲載作品の宣伝文の語尾にいつもは使われない「ハート記号」が添えられることによって、この二人のラブな雰囲気を演出している(と思われる)のです。
このようにコメントは作品の内容へも影響を及ぼすもの、ということが言えそうです。
= 内容メモ =
本誌コメントの内容は作品の内容へ影響を与えうるもので、
・ 作品の内容に則したものがつけられる
・ 読者の気持ちを惹きつける、盛りあげるようなことが書かれる
・ あるいは、作中で注目して欲しいポイントを提示する場合もある
2、むむの物語での立ち位置およびみみみとの関係
コメントは作品の内容の解釈の仕方に影響を及ぼすものということが言えそうです。<作品における読みどころとなる部分を提案する>ものであるとした場合、コメントにより強調された内容を拾い出すことで作品の内容がどんなことを言わんとしているか?を推測できるように思われます。ここでは、むむが物語でどんな立ち位置(役割)であるかを示しているコメント、および、みみみとの関係をいうコメントを抜き出して、むむの作品内での立ち位置(役割)とみみみとの関係の移り変わりを追っていきます。
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● むむの作中での位置づけが読み取れるコメント
・ 注目の急展開!!
・ 今度の敵はレベルが違う・・・!!
・ 新たなる敵・・・!?
⇒ いままでの敵とはみみみを訪れた目的が違うキャラクターであることを暗に言う。 |
〔6号(1巻「仲間われしたわざぼー」)〕
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・ むむはなぜみみみと戦う!?
・ 「たから」とは一体?
・ むむに指令をだした男の正体は・・・?
・ 浮かびあがるなぞ・・・!
⇒ 登場するたびに秘密や謎など、得体の知れないものを運んでくる。
作品が描こうとする謎と関わりの深い人物、
ということで物語の中で重要な位置づけであることを予感させる。 |
〔9号(2巻「技風むむと技々みみみ」)〕
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● むむとみみみの関係を読み取れそうなコメント
・ 新ライバルの登場を記念して、今回は敵キャラ特集でおおくりします!
⇒ むむはみみみのライバル |
〔7号(2巻「技風むむとわざぼー」) わざぼーF.C.より〕
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・ むむとの戦いで分かった/わざぼーの秘密とは・・・!?
⇒ むむはみみみに「わざぼーの秘密」を教える人物 |
〔8号(2巻「負けた理由とわざぼー」)〕
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・ そいつの名は/わざ武王。
・ 絶対倒すべき/敵!!!
・ 技風むむの思いは、みみみに届くのか・・・・・・!?
⇒ 作品内に描かれた技風むむの思いとは、
自分が成し遂げることのできなかったわざ武王の討伐を託すみみみへの激励。
「そいつの名はわざ武王」「絶対倒すべき敵」とはむむの言葉の要約である。
むむはみみみに信頼をよせているらしいことを伺わせる。(むむ → みみみ)
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〔11号(2巻「仲間割れしたわざぼー」)〕
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・ 心は一つ。
⇒ むむとみみみは心を一つにする事が出来るような共通の目的を持つ。
作中に描かれた目的とはわざ武王の討伐である。 |
〔14号(3巻「2人の力とわざぼー」)
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・ 2人をつなぐ・・・/2つのぼー。
・ 立ち上がれ、みみみ!!
・ 失意のみみみ・・・どうする!?
⇒ 2人はわざぼーでつながっている。
みみみは失意の状態であり、立ち上がることが出来ない
そんな中でのむむとのつながりを強調している。 |
〔21号(4巻「やってきたライバルとわざぼー」)〕
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“技風むむ”というキャラクターは序盤では作品に新展開をもたらし、物語の核心に触れる重要な情報と関わり深い重要人物として描かれていることが伺える。みみみとの関係は<ライバル>であり、<「わざぼーの秘密」を教える人物>というみみみよりわざぼーについての知識が豊富な人物。つまり、みみみに勝るライバルキャラクターであった。競い合う関係であるが、むむは自身が達成することができなかった“わざ武王討伐”という目的をみみみに託す。ここから、むむはみみみに強い信頼を寄せているということが読み取れる。同じ目的を共有した2人は「心を一つ」にしてそれに立ち向かっていく絆が芽生えた。“わざ武王の討伐”後、みみみが失意の状態に陥り、立ち上がることが出来なくなってしまったとき、その絆によって再びむむはみみみのもとに現れた。
コメントの情報からは、むむの立ち位置(作品内での役割)及びみみみとの関係の推移について以上のようにまとめられます。このように、一見したところいわゆる<“ライバル関係”から“絆の確立”>という流れのとおりであり、本論で証明を目的とする“恋愛の要素”があるようではありません。ただし、注目して欲しいのは、むむからみみみへのアプローチに多く言及されている点です。「むむはなぜみみみと戦う」「技風むむの思いは、みみみに届くのか」というように、むむが行為の主体であり、みみみはそれを受ける対象(客体)であるらしいということが伺える。
<“ライバル関係”から“絆の確立”>という流れが、コメントを見る限りではみみみの積極的な行動によってではなく、むむのアプローチであるように読み取れるのです。たとえ作中に<みみみがむむを助けに行く>というみみみの積極的アプローチがあったとしても、むむのみみみに思いを託す言葉が強調されることによって、みみみはむむのアプローチを受けた結果行動を起こしたように読めるのです。
このように、主人公であるみみみの主観的意思決定よりも、むむの主観によるみみみへの意思表示が強調されているのは一体どういう意図があるのでしょう? ここでは詳しく言及しませんが、みみみの主体性の薄弱さと、他者から見られる<客体>として描かれる傾向をこの作品からは感じ取れます。3巻のVSわざ武王一連のストーリーは半ばむむの主観に沿って進行し、3巻「完全決着だ!
わざぼー!!」、4巻「やってきたライバルとわざぼー」などは、みみみの主観ではなく、むむによるみみみへの思いを心内語で語った形で締め括られます。
ここに一つ新しいテーマを提案するのですが、むむの主観に沿って作品を読むことにより<“ライバル関係”から“絆の確立”>という、特に色気を感じない展開について別の解釈の可能性を読み取る事が出来るのではないでしょうか? むむの主観がコメントにおいても作品内おいても強調され、優先されることがありました。これは、作品において特に読み取って欲しいポイントとして強調されているということができるのではないか。
これは、また別の機会にお話しすることとして、コメントから読み取ることができるむむの作品内での立ち位置(役割)および、みみみとの関係については、<作品の核心を知る重要人物>であり、<みみみに勝るライバル>である。そして、<“ライバル関係”から“絆を確立”>した人物であることが伺えました。
3、むむをリスペクトしたもの
これは本論とはあまり関係のないおまけみたいな話なのですが(−V−; むむ君が女の子の目から見て「カッコイイ!」とか「素敵!」とか思えるのは、彼女たち読者がむむを異性に向ける眼差しで見る事が出来るからであり、雑誌が対象とする小学校高低学年の男の子からしたらどうだったんだろう・・・という疑問を持ちました。ストーリー漫画ですから、読者は主人公を感情移入の対象にするように思うのですが、みみみに対してやたら説教じみているし、なんか熱い眼差し(解釈には個人差があります)を注いでいたり、心内語で「おまえには戦うすがたが一番似合ってるよ」とか言ってくる奴どうなの?!と、思いました;
わざこの自己紹介「イヤ〜ン、うっふ〜んv」並に気持ち悪がられたのではないかと想像します。・・・なんでしょう、このペアからは何か性的なにおいがっ!!(わざこ×むむということではなくて、“性”を認識させるような特徴を備えている人たちという意味です。あしからず。)彼らがこの作品の中に性を認識させる役割があるというふうに言う事が出来れば、『わざぼー』が<恋愛を描いた話>としての補論になるかもしれませんね。・・・それもまた別の機会に検討したいと思います。
【 まとめ 】
ということで、本誌コメントとは<作品の内容の解釈の仕方に影響を及ぼすもの>ということが言えそうで、そこから読み取ったむむの作品内での立ち位置(役割)およびみみみとの関係については<作品の核心を知る重要人物>であり、<みみみに勝るライバル>である。そして、みみみとは<“ライバル関係”から“絆を確立”>した人物である。ということで、この理解の限りでは作品がむむとみみみの<恋愛関係>を描いているというふうには言いがたい。
一方で、むむが行動の主体であり、みみみはその客体であることがコメントや作中描写などで強調されていることが伺えました。ここから、主人公・みみみではなく、むむを主体として読ませようという意図が感じられた。むむを主体として読むことにより、<“ライバル関係”から“絆を確立”>するという、主人公とライバルという共に同じ事柄について競い合う関係の中に、別の関係が読み取れるように思われました。
6号−21号の本誌コメントのなかで、直接<恋愛関係>を読み取らせようとしたと思われる例は21号(4巻「やってきたライバルとわざぼー」)ですので、そのまとめ部分をここに引用し、最後にわたしからひとこと添えて、本論をとじたいと思います。
結局のところ「2人をつなぐ・・・2つのぼー。」と、かなり意味深長な煽り文句ではあったもののわざぼー使いという共通点によって、戦士としてのコミュニケーションが交わされたというなんの色気もない一文としても解釈できるということです。
しかし、表紙全体がムードをラブ方向に持っていっているように読める要素が十分あるということは言えそうですし、本誌コメントが<むむみみ>を煽っているわけではないとは言いきれないでしょう。作品が明確に描いているわけでもないことを断定的に書くことはできない。内容に則して曖昧な言い回しを選んでいるのではないかと思われます。
ここであげた本誌コメント以外に重要と思われる作品の内容以外の文字情報として、各話につけられた<小題>なども、また、<むむみみ>を言う参考になるように思われます。2巻「技風むむと技々みみみ」のように、みみみがわざぼー抜きで唯一名前を並べたのが“技風むむ”ということは大変意味深長のことのように思えます。
今回、見送ったテーマについては以後検討して行きたいと思います。
それでは、最後まで読んでくださりありがとうございました m(_ _)m
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